日陰の小道

土地 Tap:Green を加える。

ぼくの大好きな日常系作品の魅力について語っていくぞ

f:id:cemetrygates1919:20170124040548j:plain

過酷な現代社会砂漠の中において疲れ果てた旅人が訪れるオアシス、それが日常系作品であり日常系アニメである。
まず日常系の定義が正直なところ曖昧だったので参考にしようと検索してみたところ、wikipediaとかニコニコ大百科なんかがヒットしたので引用してみる。

空気系 - Wikipedia

日常系とは (ニチジョウケイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

さて、日常系の大まかで一番の特徴としてはやはり、

・明確なストーリーラインが存在せず、物語を描くよりもキャラクターまたは日常世界を描くことに主体をおいた作品

という点が共通してあると思う。厳密な意味での日常系はもう少し細かい定義があるのかもしれないが、とにかく僕の中ではこれさえ満たしていれば日常系と感じるのだ。
ARIAなんかも僕の中では日常系の範疇で考えている。一応あれにはウンディーネになるという明確な目標があるものの、どちらかというとそれそのものよりもアクアでの生活が主体となって描かれている作品かなと思うので。作中の時間がストーリーと共に進行するのではなく、緩やかな波のように揺蕩って登場人物の日々の暮らしに寄り添いながら進んでいく、それが日常系の持つ空気感ではなかろうか。
ところで結城友奈は勇者である』『がっこうぐらし!なんかのアニメは「新日常系」と呼称されることもあるようだけれど、あれはちょっと違うタイ プのアニメかなと考えている。たとえ作中において日常シーンが大きなウェイトを占めていたとしても、「日常を守る」というようなストーリーが主軸になっているものなので、描くメッセージが一様に「日常の尊さ」だったとしてもそれはやはり違ったベクトルの作品であって日常系ではないというのが僕の考えだ。ネオサイタマと埼玉ぐらいは近いとは思うので、「ネオ日常系」のほうがしっくりくるかもしれない。(ディスってないよ)
では僕のなんとなく考える日常系像が見えてきたところで、感じる魅力について語っていくぞオラ。

繰り返されるなんでもない日々の尊さと、その哀愁

先程も少し言ったが、日常系において僕が魅力を感じる一つのポイントはここなのだ。よく、「日常系アニメは変化がない」というように語られてしまうし、たしかにストーリー主体のそれとくらべてしまうと派手なものはないだろう。しかし作中において完全なサザエさん時空である日常系は意外と少ない気がする。日常系の流行の元祖たるあずまんが大王はきっちり卒業してしまうし、近年で人気を博したきらら系のひだまりスケッチ』『きんいろモザイク』『ご注文はうさぎですか?なんかも新入生の登場や進級、クラス替えといったイベントがある。「その気になればいくらでも引き伸ばせる世界」というのと「完全に進まない世界」は視聴者目線からだとそこまでの違いはないかもしれないが、作中において限りあるものかそうでないかという点において大きな違いがある。そしてそれは時に前述のあずまんが大王や、あるいはGJ部のような完結した作品においては観測可能な日常の終わりとして現れてくる。いつかは終焉を迎えてしまう日々だということを登場人物と視聴者が感じ取っているからこそ、日常系世界の素晴らしき日々はかけがえのないものとして輝きを増すのだ。
まあ中にはしっかりとサザエさん時空な作品もあったりするけれど。ゆるゆりなんかは作中でもサザエさん時空がネタに使われていた記憶がある。この終わりのある日常、という要素は僕が好きな日常系のポイントではあるものの、それがないからと言って面白い日常系ではないかというとそうでもないかな、というのは書き残しておこう。

ストーリー不在の中キャラクターが主体になることで描かれる細やかな人間関係

センセーショナルな事件が少ないからこそ描ける、日々の中の繊細な人間関係というものがあると思う。
ゆるゆり さん☆ハイ!なんかは本当に上手かった。百合というエッセンスを効かせた上で恋愛と友情という二種類の感情をチラつかせて、数々のキャラクター間同士の絡みを繊細に描いていておもしろかった。ちなみに僕はちなあかが好きです。
近年日常系と百合の同時流行がどんどん高まっているように感じるが、友情からの発展で生まれる百合要素がこうした人間模様を描く上で相性のいいスパイスになるというのも一つあると思う。あまり発展しすぎてしまうと「なんでもない日常」から乖離してしまうため、多くの場合はカジュアルでゆるい百合風味、程度になっているとは思うが。あっ、そういえば桜Trickは私まだ未履修なんですよね……本当に申し訳ない……。
あと、ゆゆ式もここが上手かったと思う。何度もこの話をしてしまうけれど、僕は『唯と縁 とゆずこ』というタイトルが本当に好きなんだ。仲良し三人組においても完全に対等でない関係、これが本当にリアルで面白いし、こういうちょっとだけ微妙な部分も踏まえてなおの仲良しだからこそ、絆の深さを実感できる。あと、ゆゆ式で更に面白いのはここに別の3人組グループをぶつけてきて、すごく仲良しってわけじゃないんだけどでもまあ友達、みたいな微妙過ぎる関係まで描いてくるところ。本当に強度がありますよ。

ということで

ざっくりこの2点の要素が僕が日常系作品において魅力を感じるところなんだ。もちろんこれに、魅力的なキャラクターとか、かわいいキャラクターとか、あと所によってはキレの有るギャグとかがトッピングされたりしているのだけど。ギャグ作品ってストーリーが存在しないことが度々あるので、特に美少女ものだと日常系要素が加えられていることが多い気がする。あずまんが大王もかなりギャグテイストの強い作品だし。なので主体はギャグかもしれないが、僕の中では日常系の範疇に収まってしまっている作品も存在する。そう、個人的珠玉の日常系作品キルミーベイベー帰宅部活動記録』がそれだ。次以降は、この作品自体の魅力を語っていけるといいなと思う。