日陰の小道

土地 Tap:Green を加える。

2018年に楽しかったCD12選

そんなに沢山は買っていないがまあ10枚は超えているのでなんとなくわりと聞いたものなどを。10選にしようと思ったら数え間違えて12選になってしまった。自分が買ったものなので、大概最新のものではないが、個人的な人生の記録。



Lullatone / Computer Recital

Computer Recital by Lullatone

Computer Recital by Lullatone

電子音楽系の棚で見かけて、この雰囲気のジャケットは多分嫌いなものではないだろうな……と購入した作品。当たりだった。
Lullatoneというのは名古屋を中心に活動しているグループらしい。チープな電子音で静かに可愛らしく仕上がった楽曲が心地よく、今年No1の睡眠の共に流しておきたいアルバムの座に輝いた。アンビエントエレクトロニカな感じは、北欧あたりのグループと通じる所があるような感じがする。いや名古屋だけど。
『Plastic Toy Record Player』とか、まさしくこのグループの世界観に沿った良いタイトルという気がするなあ。どこか懐かしい、締め付けられるような郷愁と癒やし。

牛尾憲輔 / 映画「リズと青い鳥」オリジナルサウンドトラック~girls,dance,staircase

実際今年の前半は『リズと青い鳥』にやられていた年だったと思う。このサウンドトラックは映画のシーンの流れと(厳密にチェックはしてないがおそらく)同じように構成されているため、聞くだけで映画の情景が思い浮かぶ仕様となっており、そしてそれがコンセプトアルバムめいた流れを構築してもいる。
「デカルコマニーという手法でできた模様から楽譜起こしをした」なんてエピソードを聞くと、サウンド含めていかにこの映画が偶然性を大切し、自然の演出を試み、そして不可侵の中での祈りと共にあったのかということがわかって面白い。
二人の日々に寄り添うアンビエントな曲調の中で、急に襲い来る『reflexion,allegretto,you』などが限界になって良い。

The Radio Dept. / Lesser Matters

Lesser Matters

Lesser Matters

6月に買った。The Radio Dept.スウェーデンのネオ・シューゲーザーバンド。ネオって言うけど時代以外に何か明確な分類があるんだろうか? まあでも実際時代は重要かもしれない。
今年を振り返ると彼らは結構ハマったバンドで、現状出ているオリジナルアルバムも4枚とも買った。どれも良かったのでここに挙げるのは迷ったが、最初に買ったこれで。いわゆるギターノイズを全面に押し出すシューゲーザー路線だったのはこの1stが一番顕著で、段々とボーカルにコーラスがかかっているぐらいでは? という風な、打ち込みアリのギターポップとかドリーム・ポップとか、そういうジャンルに推移していった感じがある。というか1stからして後半はわりとそうなんだけど。
このアルバムからだとやっぱり開幕でガツンと鳴り響く『Where Damage Isn't Already Done』が好きだな。

The Velvet Underground / The Velvet Underground & Nico

Velvet Underground & Nico

Velvet Underground & Nico

「さしずめダブルルー・リードだよ~」ってギャグ、どういう用法で使えば良いんだ? と悩んだ挙げ句その答えを求めて購入した有名名盤さん。
時代もあってか録音状態が非常に悪くてちょっとびっくりする。サイケデリック・ロックどころか60年台の楽曲に詳しくなかったのだけれど、もっと構成のインディーとかオルタナとか、そういう脱力ローファイさを誇るタイプのバンドに通じるチープとキャッチーさの融合とかこんな時代からやってたのだなあとしみじみ思った。というか楽曲のいくつかはYo La TengoとかR.E.Mが実際カバーしていて知っていたし、そういうこともありなんだか知らない年代の知らないバンドだったんだけど、どこかで会ったことがあるような感覚というか、不思議な感触があった。スローでメロディアスに始まりつつ、終わり頃にはムチャクチャやっててここまでくるとノイジーというかノイズな『Heroin』とか面白い。ギャグの使い所はわからなかったので、来世ではオーボエを演奏する女子高生か病的に繊細な映画をつくる監督になろうと思う。

Temples / Sun Structures

Sun Structures

Sun Structures

最近のバンドもちょっとぐらい聞いておこうな~と思って買ったのだけれど、いや2014年って最近か? アニメだと『バディ・コンプレックス』とか『ガールフレンド(仮)』とかがやっていた年なのだが……そう考えるといかにアップデート無敵なパッションがこの音楽ジャンルで実践できていないかということがわかる事象でもあり、やや反省だなという実感が改めて生まれる。
そんなTemplesだけど時代錯誤めいてすらある70年風サイケデリック・ロックを大真面目に10年台にやっちゃう所が面白い。サイケと申しましてもなんとなくイメージとして一側面に浮かんでくる不安になるようなコード進行とかムチャクチャな構成とかいう手法ではなく、音作りだったり愚直なリフレインでトリップ感を演出するタイプなのでキャッチーで聞きやすい。今の時代ならではというところまではよくわからないけれど、しかしこういうのもリバイバルとして今の時代にやるのが一種の個性であり価値なのかなあと思ったり。『Mesmerise』とか聞いていて気持ちが良いですよね。
いやしかし時代をぴょんぴょんしても本当にエイトビートばかり好んで聞いてしまうな自分……。

Yo La Tengo / There's A Riot Going On

There's a Riot Going On

There's a Riot Going On

ライブも良かったYo La Tengo、2018年新譜です。この静かな路線のヨラは『And Then Nothing Turned Itself Inside-Out』だとか『Summer Sun』にも通じるところがあるかもしれないが、いやとにかく心地よい。
基本としては音の醸し出す浮遊感でメランコリーに楽しませるタイプのアルバムなのだけれど、なんとなく田舎風景を思わせるような温かみを感じる『Shades Of Blue』『Esportes Casual』など素朴さのあるポップセンスが所々でキラリと輝いているのも素敵。アルコールだとか睡眠のお供に持ち出すと非常に楽しくなれるアルバムだ。曲としては、ライブの感想でも言ったけれど『For You Too』が好き。

TRUE / Lonely Queen's Liberation Party

Lonely Queen’s Liberation Party(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)

Lonely Queen’s Liberation Party(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)

TRUEさん、良いよねアニソン系で活躍しているシンガーとしては今一押し。作品内容に沿った異様な天才フレーズを生み出す作詞家として僕の中で話題の唐沢美帆さんでもあるので凄まじい。
基本タイアップ曲しか知らなかったのだけれど『次の僕へ』『分身』のようなロック系の激しいアプローチだったり、『サンドリヨン』『パズル』のような可愛らしい歌い方も自在にこなしていてシンガーとしての実力を改めて実感させられる。作曲陣メンツもTom-H@ck大石昌良堀江晶太、ミト、田淵智也、とアニソン界隈においてもで結構名のあるメンツを揃えて来ている印象。豊富なバリエーションの中でタイアップソングのキャッチーさが改めて際立つようであるのも良い。『フロム』が好きすぎるのですかすかも見なきゃかなあ……と思ったり、後はやっぱり『BUTTERFLY EFFECTOR』は至宝なんすよね。

中塚武 / 『拡張少女系トライナリー』 オリジナルサウンドトラック

『拡張少女系トライナリー』オリジナルサウンドトラック

『拡張少女系トライナリー』オリジナルサウンドトラック

拡張少女系トライナリー』っていうサービス終了したとんでもねえアプリケーションがあってさあ……という話はまあ今までにしたので置いておいて。ビジュアルもそうだけれど、オシャレだよねBGMも。チュッチュルッチュ~が特徴的な『表参道カフェストリート』とか、めっちゃ好き、休日の晴れた午後に聞いていたい感じ。
「アニメ用の曲としてではなく、実際にカフェで流れていてもオシャレで癒やされるようなものをお願いします!BGM然としていない、劇伴としてみたら頭おかしいやつで!」と解説であった土屋プロデューサの言も面白い。トライナリーというアプリのウラオモテに同調するかのような、前半のBossa・後半のEDMでアルバムが構成されている。更にはOP・EDもしっかり入ったおトク仕様、そこは被りますがキャラソンアルバムと共にトライナリーファンは必聴の盤であります。ちなみに実際癒やされるかと言うと、アットライナリーの曲だァ……と異世界に思いを馳せて胸の痛みと共に涙が溢れて参ります。
そういえば中塚武さんのWikipediaの欄にトライナリーの記述がどこにも見当たらなかったので、憤慨して初の編集をやろうと思ったのだけれどなんかログインが必要とか言われてしまったので、だれか追記しておいてくれませんか?

the pillows / REBROADCAST

REBROADCAST 初回限定盤

REBROADCAST 初回限定盤

Alternativeの感想でも少々触れたけれど、いや最近でも会心の出来なのではと思っているピロウズ新譜。『REBROADCAST』ってタイトルが自虐的皮肉さに満ちているのが良い。アルバム自体がいろんなセルフオマージュに満ちていて、『Smile』のフレーズの一つがタイトルになった『ニンゲンドモ』だったり、『Thank you,my twilight』を思わせるピコピコ電子音の『Starry fandango』、『ローファイボーイ・ファイターガール』の歌詞が飛び出す『BOON BOON ROCK』だったり。でも一方でこのアルバムは紛れもない新作で、「たとえ新作ができなくなっても昔の曲でずっとライブしたい」とさわおの語るその枯れ果てた時ではまだないんですよね。全編でロックンロールの楽しみに満ちた本作は方向性を模索し続けたピロウズが一つ円熟の果てにたどり着いた彼らなりのポップでありロックではないかなとまで思う。
個人的なお話なのだけれど最近ピロウズのチケットを取るのがたまたまかもしれないけど以前に比べて結構難しいことがあって、これはひょっとしてさらなるブーブメントさりげなく来ちゃってるのでは……なんて思ってみたり。絶対楽しくなりそうな最新ツアーは無事になんとか行けるは行けそうなので、無茶苦茶に楽しみ。

Soft Machine / Third

Third

Third

最近ジョジョアニメでも活躍しましたね、ソフト・マシーン。状況が上手くハマったとはいえ初期ながら一行を全滅の淵まで追い詰めた、5部でも屈指の能力と言えるでしょう。
3枚目なのでThird、異常に思い切りが良い。70年台ってわりとこういうのがあるんでしょうか、無知なのでLed Zeppelinぐらいしか似たようなタイトルをやるグループを知らないけれど……。75分なのに4曲しかないのもプログレ的なストイックさがあり良い。一曲目『Facelift』からいきなり実験音楽かと錯覚するノイズでスタートして、あっこれ適応できるかなと不安になりつつも、7分ごろから急激に覚醒しうねるサックスが生み出すグルーブは異様な格好良さ。ジャジーな漂わせながらもロック方面でのアプローチも多いのは素直にロックキッズたる自分のような人間にも聞きやすく、ある種のいいとこ取りのような魅力を感じさせる。テンションの高低がいい具合で、日常のいろんな局面でいい感じに楽しさを提供してくれそうな心地よさがあるのも良い。『Out-Bloody-Rageous』ではミニマル・ミュージックめいた演出まで繰り出してきて、その貪欲さにはちょっと驚いてしまった。

Vampire Weekend / Contra

コントラ

コントラ

となりの吸血鬼さんにハマったのでふとそういえば聞いたことがないな……と思って手を出した。とってもポップなバンド。『Holiday』『Cousins』なんかのリズミカルさとかこうTalking Headsあたりのポストパンク勢っぽい雰囲気があるけれど、実際元Talking HeadsDavid Byrneとか絶賛していたらしい。アフロビートというものを取り入れた点でも共通項があるらしいけれど、アフロビートを掴んでいないのでなんとも言えない。とはいえとにかく非常にダンサブルなのはやっぱり楽しい。†吸tie Ladies†としては星空の下をダンスホールにしなくてはいけませんからね……!
更にそうしたビート感と並行してすごくメルヘンな音を採用していたりもして、独特の世界を上手く構築していると感じられるし、そこに耳に残るメロディがプラスされているのは素直に万人にウケそうな強さがある。となりの吸血鬼さんも普遍的魅力のある作品ですからね……!

The La's / The La's

La's

La's

80年台後半に登場して一枚アルバムを残して閃光のように解散したバンド……らしい。(一枚アルバムだと網羅は簡単でいいですね。)
平成開始の頃ってイギリスだとマンチェ勢が結構頑張っていたイメージがあるのだけれど、The La'sはなんというか60・70年台の香りすらする古き良きロックンロールを愚直にやっている感じ。ソングライターでギターボーカルのLee Maversは結構こだわりが強い人間らしく、プロデューサーと衝突を繰り返してリリースは難航、唯一のこのアルバムも当人的にはどうにも気に食わない代物だとかなんとか。実際ライブ映像などをちらっとネットで眺めてみると、強烈な縦ノリのビートこそが彼らの持ち味という気もして、そう思うとアルバムのミックスは綺麗にまとまりすぎているようにも思えてくる。
実際アルペジオが美しい代表曲の『There She Goes』なんかはアルバムで見ると異質ですらあり、彼らと向き合うためにはそうした方向性で持て囃すのは不適切なのではないだろうか。僕ですか? 僕は「ギターポップ名盤」が聞きたくてこのアルバムを購入したのですが……。


来年の目標は異世界ポーランドの女の子にモテるためにフレンチ・ポップの造詣を深めていくことです。僕もしくは異世界ポーランドの女の子が好きそうなフレンチポップの良いやつがあれば是非教えてください。よろしくおねがいします。
youtu.be
好きな曲はTak a ja lubię.です!

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 20 リトルリドル

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 20 リトルリドル

†吸tie Ladies† / HAPPY!!ストレンジフレンズ

†吸tie Ladies† / HAPPY!!ストレンジフレンズ

ちなみに、シングルだとこのあたり。