まさしく集大成的なライブだったと思う。
セットリスト
- この世の果てまで
- MY FOOT
- Blues Drive Monster
- アナザーモーニング
- スケアクロウ
- バビロン天使の詩
- I know you
- サリバンになりたい
- LAST DINOSAUR
- Please Mr.Lostman
- No Surrender
- Kim deal
- 1989
- ぼくはかけら
- ニンゲンドモ
- 雨上がりに見た幻
- サードアイ
- Advice
- Swanky Street
- About a Rock'n'Roll Band
- LITTLE BUSTERS
- Ready Steady Go!
アンコール
- ストレンジカメレオン
- ハイブリッドレインボウ
ダブルアンコール
- Ride on shooting star
- FUNNY BUNNY
ダブルアンコール
- Locomotion more! more!
open.spotify.com
公式でセトリが公開されていた。『ぼくはかけら』だけサブスクに落ちてないので『ペナルティーライフ』か『90's MY Life』のCD買いましょう。
感想
横浜アリーナが初めてなので、地味に結構戸惑った。普段わかりやすいグッズ売り場は会場内2階にあり終演後にようやく見つけたし、待機列もぐるぐると外周に配置されていたし、トイレには長蛇の列ができていた。そのあたりから既にこれは普段と本当に規模が違うライブなのだ、という実感が湧いていたが、とはいえ会場入りしてもなおそれをしっかりと理解していたわけではなくて、曲が始まってついにそういうことを理解したような気がする。
ストーンローゼズの1stが延々と流れる会場で待機しているといつも通り照明が消え、そして始まったのはなんとメンバーの母親へのインタビュー。シンちゃん(Dr.佐藤シンイチロウ)、Peeちゃん(Gt.真鍋吉明)、さわおさん(Gt/Vo.山中さわお)の子供の頃からの写真とともに昔話が流れ、どこかの時期からいつの間にやら音楽にハマり、そして東京へと旅立った息子たちに、そしてファンに対するメッセージが流れる。山中家の話が特に良くて、母がしばらく経って大量にリリースされたピロウズのCDを見て、そして聞いて本当に息子が歌手になったのだという実感が湧いたという。そういえば、昔さわおさんのラジオを聞いていた頃に「ウチの母がいい年してロックに目覚めた」などということをどこか嬉しそうに話していたような記憶がある。『雨上がりに見た幻』や『My Girl』を評して「素直な歌詞で良い」というのは本当にそれなのだが母のデカさを感じてしまったが。
そうするといかにも劇場チックな赤い幕が上がり、ピロウズのロゴは点灯してさわおさんがアカペラにて『この世の果てまで』を歌いながらライブのスタート。完全にお約束のOPSEであるSALON MUSICのKelly`s Duckから「アウイェ!」はなく、しかも普段よりも歌い方も渋くキマっている気もする。いつも我々を楽しませてくれる前のめりなライブバンドではなく、そこには30年の貫禄を感じさせるロックバンドが立っているような心地がした。事前のインタビューでも、本当にこのライブには崖っぷちであるかのようですらある完成度を上げようという気合や責任が感じられたが、その時完全になるほどという顔になってしまった。
曲目も30年間の集大成らしくベスト盤的な選曲。アルバムタイトルの『MY FOOT』、アニメフリクリでも非常に印象深い『Blues Drive Monster』に3期初期の人気シングル『アナザーモーニング』、エイベックス移籍後第一弾シングルのロックバラード『スケアクロウ』、人気アルバムからの同じく人気のリード曲『バビロン天使の詩』、ライブでは一時期ド定番になった『I know you』……全てこれしかないアニバーサリーで演奏すべき曲だと思える楽曲群であるし、ここに至るまでおちゃらけたMCもお約束の「久しぶりじゃないか!」「いい夜にしたい!」もなく、「集まってくれてありがとう」と言葉すら重みを感じさせる。
そんなライブだったが中盤では30年間の感慨を口にしつつも、「俺は今でも、サリバンになりたい!」の言葉から『サリバンになりたい』『LAST DINOSAUR』では本当にガムシャラさが垣間見えて嬉しくなってしまった。続く『Please Mr.Lostman』は既に聞き馴染みのあるライブ版の前奏から曲が始まっていく構成に涙し、バックモニターで再現されるアルバムジャケットの枯れ木を眺めながら、20年前に既に「枯れ木に星が咲く」などという終焉の気配に満ちた曲を歌いつづけてここまで来た道のりに思いを馳せてしまった。『No Surrender』も定番曲だけれど、このタイミングで「続けること」を歌ってくれて嬉しかったな。
普段よりも随分と大きなステージで、平日ということを受けて「君たち無職?」なんて軽めのジョークが復活してきたさわおさんが、「こんなに集まるなんて、もしかしたら売れるかもしれない」と言った時にはPeeちゃんが横で大笑いしていたりしていた。「永遠のオルタナクイーンに捧ぐ」として披露された『Kim deal』は本当に聞きたい曲だったので、彼らのポップセンスの炸裂っぷりに酔いしれてしまった。『1989』『ぼくはかけら』『ニンゲンドモ』と本当に初期から最新のアルバムまでをバランスよく披露し、「10年ぶり」と言って『雨上がりに見た幻』を演奏する。雨上がりに見た幻、自分の中ではなんだかんだ最近の曲の気持ちだったのだけれどもう10年前なんだ、20周年の武道館から気がついたら10年が経過してしまったが、その間もサポートベースの淳さんの一件や少しの活動休止などもありつつもずっとやってきてくれたのだな。更に『サードアイ』や『Advice』といったこれまたライブ映えする曲が続き、あっという間に時間が過ぎていく。
ここでメンバー紹介が入る。サポートベースの有江さんも「30周年を祝うつもりで来ました」とかしこまった挨拶。シンちゃんは佐藤母が横浜スタジアムと横浜アリーナを勘違いしていたエピソードを披露し、”新”横浜なので「ああ、新しいのね」と返されたお茶目な話をしつつ、「横浜アリーナ30周年おめでとう!」と締め会場が笑いに包まれる。Peeちゃんは普段以上に気合が入っていることをアピールし「メンバーやスタッフ、そしてバスターズの皆のお陰で大きなステージに来られた」と感謝を述べる。今日はこの場ではさわおさんは言葉少なく「もう少しだけ行こう」と決め、そして名曲『Swanky Street』が演奏された……のだがここでまさかの歌いだしのミス。当然会場はそれはそれでと盛り上がるのだけれど、なんだか嬉しがっちゃいけないのかもしれないけれど、その雰囲気にどうしても嬉しくなってしまった。「横浜アリーナでやるようなバンドじゃねえんだよ!」「(PEEちゃんに向かって)お前が珍しく感動的なことを言うからこっちはキテるんだ」「あんなに練習したのになあ」なんて言うさわおさんに申し訳ないのだけれど笑顔になってしまった。改めて演奏された曲は本当にカッコよくて、「僕らは間違えながら何度も傷ついたけど」なんて歌詞がちょっとおもしろくて、そしてやはりカッコいいなあと思ってしまうのだ。
『About a Rock'n'Roll Band』『LITTLE BUSTERS』『Ready Steady Go!』とライブでも思いっきり盛り上がる曲で思いっきり拳を振り上げて、そうしたら気が付かないうちにもうメインは終了の頃になってしまっていたようだ。これだけふさわしい曲しかなかった気がするのに、まだまだやるかなと思った曲ややってほしい曲があった。
アンコールでは人気の2曲が満を持して登場。30周年の場で歌われた、当時の遺書である『ストレンジカメレオン』は今この場でも力強い決意に溢れていたし、『ハイブリッドレインボウ』実は一番好きな曲なので、こうして演奏されると「Can you feel ?」の時点で泣いちゃった。大きなステージで歌うことを「なんだか不思議だ」と話しつつ「音楽業界のことは信じられないけれど、君たちのことは信じたいよ」とさわおさん。精一杯の親愛を感じてしまった気がして、胸が熱くなった。
『Thank you, my twilight』がスピーカーから流れて観客の合唱が起こり、そしてビールを片手に「中身はアクエリアス」などと登場したダブルアンコールでは、『Ride on shooting star』と『FUNNY BUNNY』を披露。アクエリアス発言は『FUNNY BUNNY』のカバーがCMで使われたことを受けてだと思うが、きっと当時は夢を叶えるということに関しての自負を込めて歌われた歌が、こうして本当に応援歌にもなることも不思議さを感じていた。気がついたら1番のサビを観客が合唱するようになって、山中さわおという人間の歌詞に共感した人間が今こんなにもいる。ラストのフレーズで「”僕らは”それができる」と歌ってくれたことが本当に彼らなりの応援とそしてスタイルらしく、とても嬉しかった。
今日はたっぷりとトリプルアンコールまでやってくれた。「新しいも古いもない世界がロックンロールだ!」の声とともに演奏された『Locomotion more! more!』で熱狂のままに終了。30年とはいかなくても自分の中ではかなり長い期間追って好きな曲だらけのライブ、演奏も細かいところはスッ飛んで楽しいだけで終わってしまったが、この場にいられてよかったな。
Tシャツも完売で買えなかったライブは初めてだったぜ……。

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