日陰の小道

土地 Tap:Green を加える。

2023/11/28 モリッシー来日公演 40 Years of Morrissey @豊洲PIT(東京)

  1. We Hate It When Our Friends Become Successful
  2. Suedehead
  3. Alma Matters
  4. Our Frank
  5. Stop Me If You Think You've Heard This One Before
  6. Sure Enough, the Telephone Rings
  7. I Wish You Lonely
  8. How Soon Is Now?
  9. Girlfriend in a Coma
  10. Irish Blood, English Heart
  11. Let Me Kiss You
  12. Half a Person
  13. Speedway
  14. The Loop
  15. Please, Please, Please Let Me Get What I Want
  16. Everyday Is Like Sunday
  17. Jack the Ripper
  1. Sweet and Tender Hooligan

モリッシーを見た。

近隣で開催予定のアジア公演が軒並みキャンセル、どうなることやらと思いながら、まぁキャンセルだったらキャンセルでおもろいか、ぐらいのテンションだった。元々何が何でも、という気持ちよりは、モリッシーももう年だから、あと何度あるかわからない機会を大切にしなくちゃな、という消極的な理由だったかもしれない。

実を言うと、モリッシーを見るのはこれが始めてではない。2016年の9月29日だったか、渋谷のオーチャードホールの2Daysの2日目の公演を見に行った。そしてこれがそこまで万全な感じで楽しめたわけではなかった。いや、いいか悪いかでいえば良かったんだけど。グレーの『Ask』のTシャツも買ったし。
この公演は全席指定だったのだけど、前日がアホみたいに盛り上がったとかなんとかで、結構厳しく取り締まられていて、ビシッと席で聞かなくてはいけないという感じの空気で、どこか窮屈な気持ちがあった。正確にはあった……ような気がする、この情報はさっきインターネットで調べて、ああそういえばそうだったかもなぁ、と思いながら書いている話なので。ともかく、自分が思い描いていたスミスのライブのイメージって、ステージに乗り込む観客も出るようなめちゃくちゃなステージなのだ。そう思うと、モリッシーも当時みたいにはいかないのかな、なんて思ったのかもしれない。後は個人的にはセトリが渋くて(悪いって意味じゃなくて、いぶし銀的なニュアンスの方ね)不勉強さの良くなさもあった。1日目でやったらしい『Suedehead』『Meet Is Murder』も聞けなかったし。それでも『Everyday Is Sunday』にはえらく感動して、思わず感涙したのを覚えているけどね。

で、今回はどうだったろう。はっきり言って、意味もわからないままなんだかやたらと感激してしまった、というのが実情なのである。自分も意味もわからないのだが、とにかく終始感激してしまった。『We Hate It When Our Friends Become Successful』を聞いた時から、ああ、本物のモリッシーが今自分の目の前にいるのだ、という感動でいっぱいになる。続くのは7年前の心残りを晴らすようなヒットナンバーの『Suedehead』 そして『Alma Matters』の頃には、もう目から涙が溢れていた。ああスミスの曲だなぁと聞いた『Stop Me If You Think You've Heard This One Before』に『Girlfriend in a Coma』… 必殺のバラードたる『Let Me Kiss You』… もはや言葉もない『Half a Person』… いよいよ涙が止まらなかった『Please, Please, Please Let Me Get What I Want』… スモークの中歌うモリッシーに痺れまくった本編ラストの『Jack the Ripper』 …興奮の中でめちゃくちゃになったアンコールの『Sweet and Tender Hooligan』… 一曲一曲どれもが本当に素晴らしく心に響いて、もはやモリッシーを見るというよりは、ただそこに音楽と、それを聞く自分がいたというような、純粋な時間だったように思う。結局のところ、自分はモリッシーのことが大好きだったのかもしれないと、そう思わされてしまう夜だった。

『Stop Me If You Think You've Heard This One Before』

確かに、ここ7年で以前よりも更にモリッシーを知ることはあったかもしれない。自分にとっての大きな出来事は、やはり2021年のマイトップアニメーションであるところの『BLUE REFLECTION RAY / 澪』の記事を書くにあたって、楽曲の歌詞や、改めてスミスやモリッシーについて学んだことだったろうか。好きなアニメに好きなアーティストのネタが拝借されているのはなかなかない興奮を自分にもたらして、今でもあのアニメとモリッシーを両方大変気に入ってる度合いで言えば、誰にだって負けないのではないか、なんて妙な対抗意識があったりする。ともかく、これは自分にとっていいきっかけであって、モリッシーの詩世界だとか、更にはCDジャケットなども手掛ける彼のハイセンスなビジュアルセンスについてより深く知ることができたのだった。何事も出会いなのだと、そう思うよ。

『Please, Please, Please Let Me Get What I Want』

正直なことを言うと、やっぱりスミスを見たい気持ちはある。モリッシージョニー・マーが並んでいるところを見る機会に恵まれたならば、他の何を捨て置いても駆けつけるだろうと思う。とはいえ、スミスはマイク・ジョイスにアンディ・ルークも揃ってのものだろう。2023年5月にアンディが亡くなったのは悲しい出来事だったけれど、これによって改めて、スミスが揃うことはもうないのだなと、自分の中で諦めのような納得のような、そんな気持ちが生まれていたような気がする。だからモリッシーを見ても、もうスミスはどうしようもなく終わったことを感じるだけなんじゃないかって思うこともあった。
ああ、それでも、改めてだよ、今日モリッシーをこうして見て、スミスの曲も、ソロの曲も聞いて、もうこれは理屈じゃなくて、形容しがたいぐらいに、彼の、彼らの音楽が自分の中の奥の奥に根付いているということを、とんでもなく思い知らされてしまった。もうこれは良し悪しではなくて、自分というのはそうなのだと、そうとしか言えない事なんだ。それがわかっただけでも収穫ってもんさ。本当にね。

まあなんて言うかさ、結局言えるのは、とってもシンプルなことだ。ただ――今日がとんでもなく、自分にとって、いい夜だったってことだよ。それを書いておきたかっただけなんだ。